我が国では、科学技術創造立国を目指した取り組みの一環として産学官連携活動が推進されています。大学等における研究成果を社会に還元するため、企業との共同研究や技術移転といった産学官連携活動は適正に推進されるべきものです。 その一方で、複数の業務が実施される場合、関係する個人・機関それぞれの利益が衝突・相反する状態が生じ得ます。これは、活発に研究活動が行われ、産学官連携活動が盛んになれば、必然的・不可避的に発生するものです。
利益相反(Conflict of Interest:COI)とは、具体的には、外部との経済的な利益関係等によって、公的研究で必要とされる公正かつ適正な判断が損なわれる、又は損なわれるのではないかと第三者から懸念が表明されかねない事態をいいます。公正かつ適正な判断が妨げられた状態としては、データの改ざん、特定企業の優遇、研究を中止すべきであるのに継続する等の状態が考えられます。
いささかでもCOIの状態にあると考えられる研究者をすべて排除するとすれば、本法人での研究についてのCOIが問題になることはありませんが、その一方で、それは活発に研究を行っている研究者を排除することになり、また、各種研究事業を有機的に連携し、できるだけ早く研究成果を社会に還元しようとする動きをも阻害することになる上、研究の質の低下等も懸念され、適切ではないと考えられます。
本法人における利益相反マネジメントは、意欲ある研究者が安心して研究に取り組めるよう環境を整備する趣旨で行うものです。
本法人では、平成18年12月1日に利益相反マネジメントポリシーを施行し、平成21年4月1日に利益相反マネジメント規程を施行しました。COIに関する試みは、今後事例を積み上げながら徐々に整備していくべきものと認識しています。
外部の方からの貴重なご意見、また、利益相反マネジメントの対象となる教職員等のご協力をお願いいたします。
利益相反マネジメント委員会
委員長 弦間 昭彦